第5章

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 昼食時間のチャイムが鳴った。 「よっしゃぁ。昼メシ、昼メシ」  チャイムとほぼ同時くらいに、隣の森山先輩が、机の引き出しから即座に愛妻弁当を机上に出した。ピンクの可愛らしい包みを嬉しそうに開いている。  この人は、ほんと、呑気でいいなあ。  それに、愛妻弁当も羨ましい。    自分も、今日は朝から気疲れして特に腹が減っていた。  12時前頃から、社員食堂の日替わりランチの献立が無性に気になって仕方がないくらいだった。  急いで机の引き出しから財布を取り出し立ち上がると 「沢口君、社員食堂?」と白鳥先輩から声をかけられた。 「え? あ、はい」 「私も、一緒にいいからしら」 「え?」 「たまには、社員食堂でも行ってみようかなと思って」 「ど、どうぞ…… あ、横井さんもご一緒にどうですか?」 「今日はお弁当持ってないから、そうしようかな」  白鳥さんから嬉しいお誘いと思いたいところだが、今日は流石に二人っきりなんて意識して緊張してしまう。  だから、咄嗟に横井さんにも声をかけることにしたのだ。  
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