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予定より早く芸能プロダクションの会社に到着した。
主任から事前に事情が話されていたおかげで、すんなりと案内を受けた。
「沢口さん、いつもお世話になっています。本日はこちらまでわざわざありがとうございます」
「いえ、こちらの手違いで、お届けが遅れるところでした」
と森山先輩の書類を担当者に無事届けた。
「逆に郵便より早く受け取れましたよ」
「そうですか、それは良かった」
その後、日頃お世話になっているメンバーに顔を合わせ、今後のスケジュールを軽く確認し、自分の役割も果たした。
「沢口さん、せっかくいらしたのですからコーヒーご一緒しませんか」と1階にある常設カフェに誘われた。
いつかは行ってみたいとは思っていた憧れのおしゃれなカフェ。
「ありがとうございます。とても残念ですが、人を待たせてあるので今日はこれで失礼します」と後ろ髪を引かれつつ、丁重にお断りした。
応接室から急いで出ると、ダッシュでエレベーター乗り込んだ。
到着してからもうすでに20分が経過している。
寒空の下で葉山が待っていると思うと気が気じゃなかった。
寒いから1階のカフェで待ってろと言ったのに、葉山はバイクの傍でいいと言って聞かなかったからだ。
頑固なヤツ……
寒っ!
1階ロビーから出て外気に触れた途端、身震いした。
暖かな部屋に慣れきった体は、急に寒さが身に染みてくる。
こんな中、ずっと葉山が自分を待っていたかと思うと、気持ちが急ぐ。
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