第7章

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 会社から出ると、街は華やかなクリスマスムード一色だった。  この時期特有のものなのか、それとも自分がめざとく見つけているのか、カップルがやたらと目につく。  仲良く腕を組んで歩くカップル。冬だと一段とその密着度が高い。  羨ましい。  立ち寄った本屋にも……カップルだらけ。  誰か隣にいてほしい。  日頃は仕事に夢中で、意識に上らない寂しさをが、この特別な日はむくむくと顔を出す。    ネオンの明るさが滲む夜空を見上げ、白いため息が夜空にふわっと広がって消えた。  今年は、暖冬のせいか、雪は降りそうにない。    パーティー会場へ進む道は、イルミネーションが眩しいほど輝いている。  あの角を曲がれば、そろそろだな……    ビルの角を曲がるとすぐに、『たこやき居酒屋』の看板の明かりが目に入り、ホッと気持ちをなごませた。  今日はとにかく楽しもう。  いい出会いがあるかもしれない。  気持ちが明るく切り替わった自分が、自分でおかしくなって思わず笑みが溢れた。      
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