259人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
会社から出ると、街は華やかなクリスマスムード一色だった。
この時期特有のものなのか、それとも自分がめざとく見つけているのか、カップルがやたらと目につく。
仲良く腕を組んで歩くカップル。冬だと一段とその密着度が高い。
羨ましい。
立ち寄った本屋にも……カップルだらけ。
誰か隣にいてほしい。
日頃は仕事に夢中で、意識に上らない寂しさをが、この特別な日はむくむくと顔を出す。
ネオンの明るさが滲む夜空を見上げ、白いため息が夜空にふわっと広がって消えた。
今年は、暖冬のせいか、雪は降りそうにない。
パーティー会場へ進む道は、イルミネーションが眩しいほど輝いている。
あの角を曲がれば、そろそろだな……
ビルの角を曲がるとすぐに、『たこやき居酒屋』の看板の明かりが目に入り、ホッと気持ちをなごませた。
今日はとにかく楽しもう。
いい出会いがあるかもしれない。
気持ちが明るく切り替わった自分が、自分でおかしくなって思わず笑みが溢れた。
最初のコメントを投稿しよう!