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気づいたらいつの間にか、自分のアパート近くの公園だった。
足は自然と自分の家に向いていたようだった。
街を離れると、クリスマスとはまったく無関係で、街灯の明るさだけ。
公園はひっそりとして誰もいない。
ブランコが時折風に揺れている。
このまま家には帰りたくない。
少し酔いを冷まして行こう。
俺は、ブランコに座り、しばらく街灯をぼーっと眺めた。
もしかしたら、雪になるかも……
夜空には、厚く雲が広がっている。
また、ひとりのホワイトクリスマスかな……
虚しい気持ちが、さらに体を凍えさせた。
体が冷えてきた。
そろそろ、帰ろうか……
そう思った時だった。
「沢口っ!」
聞き慣れた声がした。
振り向いた先に、葉山が立っていた。
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