第1章

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第1章

                 「沢口のキャッチフレーズが採用されたよ!」    午後イチ、俺が、パソコンで資料を作成していると、直属の上司である主任の溝口守(みぞぐちまもる)が会議から戻るなり事務室に飛び込んで来た。 「ほんとですか!」  俺は、驚きと嬉しさで、椅子のキャスターを勢いよく後ろに滑らせ立ち上がった。  俺が在籍する1係も溝口主任の声に一斉に活気立つ。と、同時に隣の2係と3係の視線が自分に一気に集まった。  俺、沢口雅也(さわぐちまさや)は、香水ブランドを扱う会社に入社して2年目。会社の環境にもすっかり馴染み、配属されたマーケティング課1係で、やりがいを持って働いていた。社会の仕組みやマーケティングの重要性がわかるにつれ、特に最近は、仕事がますます面白くて楽しいというところだ。 「やったな! 沢口のおかげで、プレゼン権は1係が獲得だ」  主任が元気よくポンと肩を叩いて来る。 「ありがとうございます。これも、溝口主任のご指導のおかげです」 「ご指導って……そんな、固くならんでいいよ。沢口が頑張ったからだよ」 「やったじゃん、沢ちゃん。これから忙しくなるぞーっ!」  隣席の森山和伸(もりやまかずのぶ)先輩も立ち上がって肩を叩いて一緒になって喜んでくれている。 「森山先輩も、いろいろとアドバイスありがとうございす」  
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