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是山洋司は岩機早苗からの電話を切り、大きく溜め息をついた。
三週間前から付き合いだした彼女は、綺麗な部類でそこそこ男慣れしていそうだと思ってそういう関係になったのだが、意外と執着されて困っていた。
是山にだって、人並み程度に愛情にも飢えているし性欲もある。
自分より十以上歳若い彼女を持つことに自尊心もくすぐられる。
彼女が自分を必要としてくれることには嬉しさはもちろんあるが、過去や現在に傷がある身ではあまり執着されてあれこれ詮索されるのは不都合があった。
だから、適度な距離を持てる相手を望んでいたのだが、いざ付き合ってみると違った。
誤算であった。
それでも、深く詮索はされることは今のところないので、特に問題はないと思っていた。
結婚まで考えることはないが、是山とて遊びという感覚ではないし、付き合う相手として大事にしていこうとは思っていたところだった。
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