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時には虫を服の中に入れられたり、当たっていても背後にいる者をさっと入れ替えられ、いつまでたっても当てさせてくれなかった。
くすくすと嘲るような笑い声だけが聞こえ、それでもそれがあると安心した。
声がしなくなったら誰もいなくなっていて、置き去りにされたことだって何度もあったからだ。
遊んでいても、何も楽しいことなんてなかった。
だから、その遊びは大っ嫌いだった。
でも、仲間に入れてもらえたことが嬉しくて、嫌だとも言えなくて、ただただ座って、振り向くのが怖くなった。
そんな思い出の曲が入ったオルゴール。
早苗にとって『かごめ歌』は負の象徴なのだ。
苛められていた惨めな自分、可哀想な自分、そして苛めていた同級生の顔が浮かぶ。
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