1人が本棚に入れています
本棚に追加
平成クロマニヨン
「平成クロマニヨン、意識レベル上昇」
「血圧、体温、脈拍。すべて正常値です」
どこからか、冷たく抑揚のない声が聞こえる。
身体が水の底に沈んでしまったかのように重い。
俺は何をしていたっけ? 大学の講義を受けてバイトにいって、それから家に帰ってきて、それで……。
「意識レベルが覚醒値まで到達します」
「よし、平成クロマニヨンを起こせ」
平成クロマニヨン? 聞いたこともない言葉だ。
俺の全身がふわりと浮き上がるような感覚に包まれる。ゆっくりゆっくり、太陽が揺らめく水面まで、あと少し。俺は――
最初のコメントを投稿しよう!