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「うっ……」
目を開くと、眩いほどの光が俺を包んだ。
手術のときに使われるような大きな照明が二台、俺の両側に置かれている。その先には見知らぬ白い天井が広がっていた。
「ここは?」
辺りを見回すと、見慣れない機械にぐるりと囲まれている。俺は真ん中にぽつんと置かれたベッドのうえに横になっていたようだ。
「なんだよこれ、映画のセットか?」
現実感のない光景にひとりごとをこぼした時、シュッと空気の抜けるような音とともに左側にあった扉が開いた。そこからひょろりと痩せて背の高い初老の男と、小柄な女の子が入ってきた。
「やあ、目が覚めたかい?」
「あなたは? っていうか、ここはどこですか?」
「ふむ、混乱するのは無理もないが。まずは君の意識がはっきりしているか確認したい。年齢と名前を聞いてもいいかな?」
男はうながすように手を軽くあげ、横にいた少女は手の上にスクリーンのようなものを広げてボタンに触れていた。最新の医療機器かなにかだろうか。
なんにしても、名前を言わないことには何も説明してもらえそうにない。
「木戸啓介、21歳」
「キド=ケイスケくんか。私はアガノという。よろしく」
「アガノさん、あの、ここは一体なんなんです? 俺はどうしてこんなところで横になっていたのですか? それに、こんな服も」
そういって俺は身にまとっていたパジャマのような白い布を引っ張った。
「ひとつずつ説明しよう。君は驚くかもしれないが、ここは西暦3215年の日本だ」
「はっ? 何を言ってるんですか。冗談は止めてください」
「信じられない気持ちは十分に想像できるけれどね。これは事実だよ」
「3215年って……」
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