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「姉ちゃんの作品面白いのに、皆見る目無いなぁ、よし!俺が毎日☆してやる!レビューも全作品書いてやるぞ!」
尚樹は登録して間も無い頃、そう言って憤慨してくれた。正直、有り難いけれど、惨めだった。だから、
「いいんだよ。趣味で書いてる自己満足なんだから。下手にアクセスが増えたら、人気を気にして書きたいように書けなくなるじゃん。だから、アクセスはしても良いけど、レビューも☆もいらないからね」
とやんわりと断った。本当は負け惜しみと強がりだった。弟は今注目されている。
そんな彼が書いたレビューを読んだファンが、もしかしたら自分に関心を持って読んでくれるようになる……かも?と思わないでもなかった。
けれども、積極的に他のクリエイターの作品を読み、☆を投げ、レビューを書いてみても、さっぱりアクセスも☆も増えず。それなら少しでも注目されよう、「アクセス増やしたい作品集合!」とサイト内でのイベントを立ててみたり。しかし、二週間過ぎても誰も参加しなかったのでひっそりと削除したのだった。
そんな経緯もあり、どうあっても自分は日陰なんだと開き直る事にしたのだ。そして
「そもそも神様は不公平なもの」
と結論づけた。
有栖が書く作品はLoveストーリー、ファンタジーものがほとんどだ。ファンタジーであれば好きなようにパラレルワールドで遊べる。
ある時はヒロイン、ある時はキャラを統括する神、ある時はラスボス……そう、自作小説の中の有栖は非凡で無敵だった。唯一、自分がヒロインになれる時間だった。
もう、アクセスや☆などは気にならなかった。
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