第2話 無敵のアリス

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「ねぇ、見て!明彦先輩、カッコイイよねー!」  昼休み。何やら教室の女子が5.6人黄色い声を上げる。中山明彦、高3。生徒会長だ。 長身スリム、鳶色の髪の短髪。彫の深い顔立ち。小麦色の肌。明るい茶色の瞳。日本人離れしたイケメンである。  頭脳明晰、文部両道。このごく平凡な高校にも、勿論超がつく優秀な方々は存在する。 女子が騒ぐのも無理は無い。  どうやら、何かの用事で校庭を歩いているらしい。 「でも、ラブラブの彼女居るんでしょ?」 「なんか、噂によると他校の二年で。モデルの子らしいよ!」 「えー、じゃぁ叶わないね」  女子達は声を潜める。 ………ていうか、あれだけの美形。文部両道。フリーだと思える事にビックリだ。フリーなら付き合える自信があるのか……  内心、有栖は秘かに突っ込みを入れてしまう。  数多(あまた)いる優秀なる美しき花々から、自分を選んで貰えると思う、その根拠無き自信がある意味羨ましかった。  早く、小説の続きが書きたい、そう思った。 キーンコーンカーンコーン…  また、退屈な授業が始まる事を、チャイムが知らせる。お昼を食べた後は、特に眠くなりがちだ。慌てて生徒達が席に戻って来る。有栖は数学の準備をし始めた。  そして何となく、午後の授業が過ぎていく。 放課後は演劇部に顔を出す。今日は秋の文化祭に向けての演目とレギュラーが発表だ。 ……と言っても、照明や音響等敢えて裏方を希望しない限り、セリフは無くとも、全員が舞台には立てるようになっているのだが。  何やら、全員が舞台に立てないと選ばればかった生徒の父兄からクレームが入るらしいのだ。 「うちの優秀な子が舞台に立てないなんて! これは差別です、苛めです! 訴えます!」
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