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「どこに行くニョかな?」
「ちょっとお泊まりなのですふわ」
「お泊まり?」
なるほど。姫はピンク耳がついたネコのリュックサックを背負っていた。
「ニャんとも暇なので、ボディーガードしようか?」
「ううん。わたし一人で大丈夫ふわ」
まあ、大丈夫と言うのなら仕方ない。
「きっと大丈夫ふわ」
自分に言い聞かせるように、姫が言葉を重ねた。
「うん」オレも曖昧に答える。「わたあめ姫なら大丈夫だニャ」
「ありがとうございます。では行ってきます」
ペコリンと頭を下げる姫。
その時である。リュックサックの中身がチラ&ニャーと見えた。
キラキラと黄金色に輝くモノが入っているではないか。
どこか温かくて、なぜか心が踊るような光明だ。
オレはまぶしくて目を細める。決して眠いからではニャいぞ。
「ヌコリンさま、またね!」
わたあめ姫が大きく手を振りながら駆けてゆく。まるで空に架かる二つの虹をくぐるように。
あたかも舟の櫂を漕ぐように手を揺らす後ろ姿を、いつまでもいつまでも眺めていた。
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