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「まだ眠いよ……」
「何言ってるんだよ。昨日約束しただろ?今日は早起きして」
「あ」
海斗が言わんとしていることを思い出した拓海は、ベッドの脇に立つ親友を見上げた。
同じタイミングで、互の顔に笑みが浮かぶ。
二人でドタバタと階段を駆け下りると、拓海の父が不思議そうに居間から顔をのぞかせた。
「なんだなんだ、朝から元気だなお前たちは」
「おじさん!おはようございます!」
「おう、おはよう。そんで、ふたり揃ってどこへお出かけかな?」
丁寧にぺこりと頭を下げる海斗に同じように頭を下げた父はん?と首をかしげる。
すると、拓海が嬉しい気持ちを抑えられないと言いたげな満面の笑みで答えた。
「昨日公園の裏に広場が隠れてたんだ!俺たちで秘密基地作りに行くんだよ!」
「ばか!言ったら秘密じゃなくなるだろ!」
「あ、いけね。オヤジ!今のはみんなに秘密な!」
そう言いながら、二人はもう靴を履いて玄関の扉を小さな体で押し開ける。
「怪我するんじゃねぇぞ」
「行ってきます!!」
忠告を聞いているのかいないのか、そこにもう子どもの姿はなかった。
「元気がよくていいな、子どもってのは」
「何をのんきに言ってるの」
笑いながら新聞を広げる父に文句をこぼしながら、キッチンから母がコーヒーを持って現れた。
「海斗くんはあんなにお行儀がいいのに、拓海は一向に落ち着こうとしないんだから。また汚い言葉を覚えてきて。ちゃんと注意してよ」
「まあまあ、俺もガキの頃はあんな感じだったぜ。時期が来れば落ち着くよ。
まだ7歳なんだから、そんなに焦らなくても」
「もう7歳なの!あなたはいつもそうよ。子育てもろくにしないで遊んでばっかり!」
「待ってろって。今日は大金稼いでくるからよ」
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