第1章:海斗・拓海 編

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つまり、最初に来た女性が恐らくその有名漫画家という人で、 彼女が購入した同人誌の感想をブログに載せたことで、興味を持った美澄ファンが集まってきた、と。 「……東京は恐ろしい」 「ん?お前東京育ちじゃなかったっけ?」 思わず田舎者のようなセリフをつぶやくと、友人が顔を覗き込んでくる。 「でもすげえな。美澄先生が来てたのかー。お前の変わりように驚いてちゃんと顔見てなかったなあ。 なあ、美人だった?」 「知らん。興味ない」 「えー?お前絶対人生損してるよ。女性の魅力がわからないなんて、もったいない」 何やらブツブツ言っている友人を残し、片付けを終えた海斗はブースを出た。 そんなものは、わからなくていい。 今はまだ。 そんなものが分かってしまったら、百合乃を落とせなくなる。 だから今は、まだ必要ない。 「(……さっきの子、高校生くらいだったか)」 ふと、先ほど会った少女が脳裏に蘇った。 東京慣れした大人の女性や、着飾った女性に興味はない。 だが、純粋で曇りのない顔で笑える彼女のような女性なら、嫌いではない。 むしろ、またどこかで会えるだろうかと期待さえしている。 らしくない、と海斗は苦笑を漏らした。
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