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「……今日は帰るよ」
「あの、待ってください!ごめんなさい、私、過ぎたことを言いました。海斗さんを悲しませるつもりなんてなくて、ただ……」
ベンチから立ち上がる海斗の腕を掴む、彼女の手が震えている。
可哀想に。
本当に俺のことを愛しているんだな。
「ただ、何?」
「……っ、怖くて……海斗さんが、どこかに行ってしまいそうで……いっそ、妊娠でもしてしまえば、結婚できるのに……」
最後の一言は消えそうで、独り言に近かった。
思わず溢れてしまった笑みは、幸い俯いている百合乃には見えていない。
この時を、ずっと待っていた。
さあ、
壊れろ。
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