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第2章:千秋・晴香 編
世界なんて、なくなればいいと思った。
信じても裏切られる、嘘で塗り固められた、手を伸ばしても何も掴めない、光も希望も見えない真っ暗な世界なんて、そこにあるだけで意味のない世界なんて、全て、跡形もなく、消えてしまえばいいと思った。
思えばあの頃の俺は、死に場所を探していたような気がする。
俺を殺してくれる場所を、殺してくれる人を、探していた。
ただ存在するだけで、意味を持たないこの世界と同じ。
食料も、金も、空気も、無駄に浪費するだけの惨めな俺を。
誰か、誰か。
俺を殺して。
毎日、そう願って、生きていた。
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