昔語り

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ある春の日にお墓参りへ。車を降りて、車酔いをさまそうと駐車場を走り回ったりしたもんだ。お花やお線香はその時持たせてもらえず、私は長女ということもあってか、桶とひしゃくを持たされた。水場で水を汲み、身長が足りなくて両手で持っても地面すれすれで、持ちにくかったことを覚えてる。自分の家のお墓へ向かう途中にその原っぱはあった。通り道とは一段持ち上がったところにあり、日差しが強いときには遊具が熱を持ってしまって遊べなかった。タンポポや菜の花がよく咲いていた。ただ、その中にも摘めないほど小さな花があった。当時、青が好きだった私はどうにかしてそれを持っていきたかったが、あまりに小さすぎたために潰してしまいがちだった。
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