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私は惹かれるようにその跡をたどった。角を曲がったところで途切れたが、その先には弟と妹の姿があったのだ。二人は何をしたのか、至る所に汚れをつけて、道端に寝転がっていた。すーすーと寝息を立てて。私は唖然としてしまって、しばらく立ち尽くした。その時、肩に手が置かれたような感覚がして、上から声が降ってきた。
「お姉ちゃんなんだから、しっかり見てないとだめよ」
振り返ってみると、遠くから両親が慌てて私のもとへ走ってくるのが見えた。母は弟妹の姿を見て泣き出してしまい、父はわたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
「お父さん、お花をたどってきたんだよね?」
「花?そんなものはなかったよ」
「うそ!青いお花だよ!」
首をひねって困った顔をする父に私は必死に訴えたようだが、両親も職員の人もそんなものは見なかったらしい。
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