第12章

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「あの頃の俺は、今よりずっと奔放に生きていたんだ。美しい人間をみつけては気ままに『食事』をして。あとは後腐れなく暗示をかけてしまえば済む話だ、ってね。医者の仕事にしても、人間より能力は上だし、疲れ知らずだから、自分に向いていると思っていた。人間の血を勝手に吸っている事へのちょっとした負い目を、医療で人間の命を救うことで帳消しにしている気になって満足していたんだ。驕りがあったんだろうね。気軽に楽しく生きているつもりでいたんだ」
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