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「へー、じゃあもしその時スーパーマンが颯爽とあらわれてお父さんを助けてくれてたら、スーパーマンになるとこだった?」
一瞬思考が固まった。
――からかってるのか?
「非現実のものになりたいと願うほどガキじゃないですよ」
俺はむっとしながらも答えた。
「じゃあ、もしスーパーマンの姿をしたAV男優が颯爽と……」
「子供ですか! あんたは!」
さすがに頭に来て、つい声を荒げてしまった。
なんなんだ、人が真剣に話したというのに。所詮は初対面であんなとんでもない事をやらかすような人ってことか。ちょっと美味しいものをご馳走してくれたからってそんな人に熱く語ったりした俺が間違ってたんだ。
俺は馬鹿らしくなって食べるのに専念することにした。とっとと腹いっぱい喰って、それでこんな人とはオサラバだ。
変な沈黙が続いてじゅーじゅーと肉の焼ける音だけがやけに室内に響く。だけど、そんなこと知ったことか。
俺は黙々と箸を動かして肉を胃袋に収めていく。
さっきまであんなに美味かった肉が今はなんだか味気ない。
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