第6章

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 霧生さんは俺が敏感に反応してしまう部分を見つけ出してはそこを何度も何度も繰り返し弄ぶ。そして、俺のすべてを隅々まで容赦なく暴き立て『いい加減に認めてしまえ』と言うかのように追い詰める。  逃れようとしても押しとどめられ、さらに開かれてしまう。  そのうち、霧生さんの指は俺のジーンズと下着をいとも簡単に引きおろしてしまった。少し反応して勃ち上がりかけていたものが否応なく晒されて、あまりの恥ずかしさにかぁっと顔が熱くなった。 「いっ、いやっ、いやだっ!」 「ほら、またそんな甘えた声を出して……」 「ちがっ……ぁあっ」  掌でやわらかく包み込まれ、ゆっくりと上下に擦られる。自分でこっそり風呂場でする時とはまるで違う感覚に息が詰まる。  先ほど散々弄られて固く尖ったままの乳首も、触れられていないのにまたぴりぴりと疼く。腰の辺りに溜まっていく熱をなんとか逃そうと身体をのけぞらせることで、余計に胸を突き出すような格好になってしまい、そこを霧生さんがぺろりと舐め上げる。 「あぅっ……」  先端から溢れだすものを全体に塗り広げられ、ぬるぬると滑るように動きがスムーズになったことでダイレクトに刺激が伝わってくる。  くちゅくちゅといやらしい音と乱れる息と喘ぎ声とが混ざり合う。霧生さんの大きくて男らしい手が、先端から雫をこぼしている自分の紅く膨れあがったものに絡みつき動いているのが視界に入る。  聴覚や視覚、触覚から入る全ての事に、自分が今ほんとうにいやらしいことをされているんだという現実を突きつけられる。それがさらに興奮を誘い、新たな快感を呼び起こしてしまう。  舌先で転がすように固くなった乳首を舐めつつ、霧生さんの手はどんどんと俺を追い詰めていく。時に宥めるように優しく、時に急き立てるように激しく。緩急をつけた動きに翻弄されとうとう堪えきれずに霧生さんの手の中で達してしまった。 「あ、あぁっ!」  はぁはぁと荒い呼吸を繰り返し、体がぐずぐずに溶け出していく錯覚に陥りながら、ふと視線を感じ閉じていた目を開けると、霧生さんが俺を見つめていた。  縋りつくような寂しげな瞳に胸が締め付けられる。 「きりゅ、さん……」
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