第6章

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 この人だって決して単なる思い付きの悪戯でこんなことをしているわけではないのだ。  唐突で強引で俺の意思なんて全く無視しているように見えて、俺のことをいつもちゃんと見ていて、考えてくれている。俺がどんな反応をするのか不安なんだ。そしてその不安を取り除けるのは俺だけ。俺が取り除いてあげなくては。  そう考えたら、自分の中のわだかまりや罪悪感が不思議なほどきれいに消えていった。  『男』だからとか『人間』じゃないからとか関係ない。  『霧生さん』だから俺は……。  俺は掴んでいたシーツから指を離し、霧生さんの首に回した。身体の力を抜き、この人の全てを受け入れる覚悟をした。  少し汗ばんだ皮膚からは霧生さんがいつもつけているコロンの香りが微かにする。 「遠藤くん……」  霧生さんは一瞬泣き笑いのような表情を浮かべると、それ以上は何も言わずに俺に口付けた。お互いの気持ちを確かめるようにたっぷりと舌を絡ませ合う。  どこまでが自分の舌なのか境界線が曖昧になるほど充分に味わったあと、霧生さんの身体は離れていった。  不安になって見上げると、霧生さんはばさりとシャツを脱ぎ捨てた。同じ男だけど惚れ惚れしてしまうような、綺麗でしなやかな筋肉。そして、なんの躊躇いもなくズボンも下着も脱ぎ去り、すべてを俺の目の前に顕にした。霧生さんのものも大きくしなるように勃ちあがっているのが目にはいり、思わず俺は目を閉じた。  かたかたと音が聞こえ、再び目を開きそちらのほうに視線を移す。霧生さんがベッドサイドに置かれた小さなテーブルの引き出しを開け中から何かボトルのようなものを取り出しているところだった。そして、そのボトルのキャップを外すと中身をとろりと掌に落とす。 「何ですか、それ?」 「ちょっと冷たいかもしれないけど、我慢して」 「え? えっ? なに?」  右膝の裏側に液体を垂らしていないほうの手を添えられ、ぐいと脚を広げられた。抗う暇もなく、もう片方の手が自分でも触れたことがないような部分に触れた。 「ひゃっ……」  ひんやりとしてぬるぬるとしたものが窄まりに塗りつけられ、身体がびくりと跳ねた。 「な、なんでそんなことっ」 「ここで、遠藤くんと繋がるから」
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