第6章

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「あ……」  男同士の行為についてなんとなく漠然と理解はしていたものの、本来、そのような事をするためにあるのではない器官を使うのだから、そういった準備が必要なのだということまでは考えていなかった。  その時急に、本当にそんなことが自分にできるのか、という不安が湧き上がってきた。こわい。怖いけど、だけど、霧生さんの全てを受け入れるという決心は揺らいでいないし、霧生さんがしたいと思うようにしてほしい。させてあげたい。 「んくっ……」  先ほどボトルから出した液体の助けを借りて、指がぬるりと中に入ってくる。その感触に思わず息を詰める。  内側を探るようになぞられているのがまざまざと伝わってきて、身体が意思に反して勝手に逃げを打った。  そんな俺を労わるように霧生さんは俺の顔や首筋に優しくキスを落とし、時折「痛くない?」と声を掛けてくれる。  中で指を曲げられ、ぐるりと掻き回され、そのなんとも言えない初めての感覚にも慣れ、段々と指を増やされいく。やがて、堅く閉じていたそこが解されているのがわかった。 「入れるよ?」  こくこくと頷き、少しでも身体の緊張をほぐそうと息を長く吐いてみる。  霧生さんは俺の両脚を持ち上げると、胸につくほどに折り曲げて固定した。顕になった部分が自分の意思とは関係なくひくひくとわななく。  霧生さんの固く熱をもったものが俺のそこに宛がわれた。  ぐっと力を込められて、さっきまであれほど弛んでいると思っていたそこがめりめりと音を立てるのではないかというほど侵入を拒む。  苦しくて、それをどう逃せばいいのかわからなくて涙が滲む。  すっかり萎えて縮こまってしまった俺のものに軽く手を触れながら、霧生さんは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。 「やっぱり、やめる?」 「ぃい、から……、やめな、いで、……っ」  息も絶え絶えになりながら俺は霧生さんに縋りついた。だって、ここでやめてしまったら俺はきっと怖気づいてしまう。霧生さんに対して萎縮してしまって、今日心の中に抱いた気持ちを二度と取り戻せなくなる。  そんなのは、絶対にいやだ。 「ごめん、遠藤くん。ごめん……」  霧生さんは悲しそうに顔を歪めると、ゆっくりと躊躇いなく身体を進めてきた。
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