第7章

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「あれは、霧生さん専用だし……」  言いながらそれじゃ「あなたは俺にとって特別です」とも取れる言い方だと気づき慌てて話題を変える。 「というか、見知らぬ男から電話かかってきて『お宅の息子さん二、三日帰りません』って言われて『はい、そうですか』って納得する親がどこの世界にいるんですか!」 「遠藤くんのお母さんは『ふつつかな息子ですがよろしく』って言ってたけど?」 「うっ……」  母さんならそういう反応もあり得なくはなかった。普段真面目すぎて全く遊びにも出かけない息子を心配するような人だ。急に外泊だ、なんて言ったら小躍りして喜びかねない。それにしても、危機感なさすぎというかあんまりな対応だ……。  がくっと項垂れた俺をみて霧生さんはくすくすと笑い出した。 「遠藤くん、俺がヴァンパイアだって事忘れてない?」 「……忘れてませんけど?」  本当は『エロ医者』というイメージが先行して『ヴァンパイア』ということを忘れがちだがそれは内緒だ。 「人の意識を少し変えることくらいはできるんだよね。君のお母さんにもあまり心配しないように暗示をかけた」 「それってつまり、魔法とか呪いとかいう類いの……?」     
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