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「ん……」
いったん自分の気持ちを認めてしまえばあとは簡単なものだ。霧生さんの施す行為にすっかり身を任せて、素直に受け入れてしまえばいい。そして、それが相当に心地よいことだと知らされる。
やわらかな舌が口腔内のすべてを舐め上げるように這い回る。それだけで俺の息はあがり、触れられてもいない中心が熱くなるのを感じた。
霧生さんの首に腕を絡み付けるように抱きつく。こうしていないと立っていられないくらいだ。
「このまま今日も泊まっていかない?」
耳元で囁かれる息さえも甘くて、俺の意思を揺るがせる。
「でも……。やっぱり一旦家帰らないと」
ぎりぎり残されていた理性でそう呟く。
むこうが俺のこと心配してなくても、俺は弟達がきちんと飯を喰っているのかやはり気にかかる。
「パジャマのままで?」
「そうだ、俺の服どこですか!」
「まだすき焼きも食べてないし」
「たっ、食べます!」
なんだかんだいっても、自分の食欲を最優先にしてしまう俺。いつになったらこの貧乏体質から抜け出せるのやら……。
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