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霧生さんがなぜそんなことを言うのか、そんな態度を取るのか、じりじりと考えながらなんとか問診までたどり着いた。
問診コーナーのカーテンをくぐると霧生さんは以前と同じようにモニターを乗せた白いデスクの前に座っていた。でも、俺が入ってきたことに気づいているはずなのにモニターから目を離そうともしない。
「……掛けて」
「……失礼します」
「では、問診をします」
まるで見ず知らずの他人に接するような態度に訳がわからず悲しくなってくる。
「今日の体調はよろしいですか?」
「はい」
「この三日で出血を伴う歯科治療は受けていませんか?」
「受けてないです」
「この一年間に、不特定の異性との性的接触はありましたか?」
「ないです」
「過去に男性との性的接触はありましたか?」
「あ……っ」
あの日の出来事が一瞬のうちに頭の中を駆け巡り、俺は真っ赤になって俯いた。
何度も聞いて暗唱すらできる質問を、俺はこの時になるまで思い出しもしなかった。やっぱりここに来るべきではなかった。いや、来る権利すらなかったのだ。意地をはらずに先に電話で連絡すればよかった。
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