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学生の頃の思い出は私達2人をなんだかんだ切り離せない。気づいたら小学校も、中学も、高校も、それぞれできた友達の連絡も来なくなった。なのに私たちの縁は不思議なくらい繋がっている。
友達か、と言われたらとても曖昧だ。考えも、好みも、何もかもが違う。だけど、わかる。でも干渉しない。
「それでは、ここでご友人の……」なんて司会の言葉に急かされて私は紙を持って立ち上がる。ああ、だから、友達というには無理があるというのに。
目があったらへにゃり、と変な顔をされて思わず吹き出してしまい、盛大にマイクに拾われてしまった。ひどい話だ。深呼吸ひとつ。
「このたびは、ご結婚誠におめでとうございます」
へにゃりと笑った顔にだらしないなあと己の顎を触って知らせた後に書いていた手紙を読もうとして、やめた。
たぶん、私のキャラには微塵も合わないのに必死こいて頑張って何回も書き直した癖のある文字が踊っているのを、盛大に握りしめる。
ぐしゃ!と紙の音をマイクが拾って「あっ」と誰かが言っていたけれど、無視だ。
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