大会メンバーと対人戦と

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約束の日曜日、陽一は巨大な駅を支える柱に背を預けスマートフォンを見ると時間は8時半、予定よりも30分も早く到着してしまった。スマートフォンから顔を上げると行き交う人の群れが目に入ってくる。スーツを着た人、学生服の人、私服の人。子供から老人まで男女問わず忙しなく動き回っている。こうして人間観察してみるとクロスアンリアルの人気を改めて思い知らされた。さすがにスーツを着た人はイヤリング型受信機をつけている人はあまりいないが、それ以外の人は5人に3人くらいはつけている。今、つけていなくてもプレイしている人はいるはず。 「アイツ、スゲェな!7人抜きだぜ!」 「あの反則級の防御力はヤベーって。」 「あはははっ!お前ボコボコにされてたもんな!」 「人の事言えないだろう!HP2割も削れなかったくせに!」 陽一の脇を通りすぎる5人組の若者の集団。大学生だろうか?ラフな服装で耳には受信機がついていた。だから、聞こえてきた会話の内容がクロスアンリアルについてだと推察するのは容易だった。時間には余裕があるし、その7人抜きしたというプレイヤーにも興味がそそられる。広樹に誘われたクロスカップに出場すれば対戦相手になる可能性もあるのだ。偵察と暇潰しを兼ねて、情報提供者に背を向けた。
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