大会メンバーと対人戦と

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「あの、マスター……恥ずかしいですぅ。」 「お前らいつまでイチャつくつもりだ――?」 広樹が呆れて口を出した。慌てて触り心地の良い白黒髪から手を離す。痛みは消え代わりに手汗が異常に出てきた。陽一は短い間隔で脈打つ心臓を宥めようと大きな深呼吸をする。その傍らで桜色に頬を染めたマシロが広樹に抗議した。 「イ、イ、イチャついてません!ただ、そのぉマスターに触って貰えるのが気持ち良くって……」 陽一の手が置かれていた頭を触り、さっきまでの感覚を思い出す。マシロがとろけた目でチラチラと陽一を見ているその最中だった。 「やっと見つけたぁぁああ!!!」 後ろから突然大声で呼ばれて驚く一同。振り返るとひとり1人の女性がいた。アイドルと言われても信じてしまうほどのルックス。スレンダーな体型で腰まである長い茶髪を颯爽と靡かせ歩く姿は正にテレビの中で活躍している人みたいだ。 「グリーンの鞄とグレーのパーカーの2人組……」 女性が陽一と広樹の特徴を口に出しながら確める。 「これ、あなたたちよね?」 彼女の手に握られていたのはブリキングの掲示板に貼ったメンバー募集のメモ用紙。字も間違いなく広樹のもの。陽一と顔を見合せ広樹が一歩前に出た。     
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