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全体が薄紫に染まっている墓地フィード。ドーナッツの形に配置された墓石。地面に埋められた石にはアルファベットが彫り込まれ十字架の形にカットされた石が守るように立てられている。中心には背の高いもみの木。もみの木と墓石の間にハーピーが出現し、戦闘が始まった。
最初に動いたのはハーピーだ。翼を羽ばたいて空へ舞い上がる。高度をぐんぐん上げもみの木の天辺と同じ位まで舞い上がるとマシロ達を目掛け翼を大きく動かす。翼から矢尻のように鋭く尖った羽が射出された。
「マシロ、回避!」
「ヴォルフ、ガードだ!」
数え切れないほどの羽を前に忠実にプレイヤーの命令を守る。剣で弾きながら攻撃範囲外へ移動するマシロ。ヴォルフは自慢の鎧で身を守る。
「大丈夫なのか?ブラド……」
棺桶に羽が刺さっているブラド。心配して言った陽一に対し茉央は笑顔で答えた。
「あれくらいどーーってことないわ!」
「マスター『氷刃』を!」
マシロの声で意識を戦闘へ戻した。
「ああ!『氷刃』」
直ぐ様マシロの要求に答えてメインスキルを発動させる。氷の剣を掴んだマシロが疾走する。勢いに乗ったマシロは跳躍し十字架に乗りそれを踏み台に更に高く跳躍した。
「セェや!」
ハーピーの翼へ刃を向けた。しかし、ハーピーは容易く躱し嘲笑うかのように自由自在に空を飛び回る。忌々しくハーピーを睨むマシロ。
茉央が長い髪をかきあげ意気揚々と宣言した。
「そろそろアタシたちの出番のようね?行くわよ、ブラド!」
それに呼応しブラドが前に出て勇ましく胸を張った。
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