ブリキング大会

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マシロの剣を2本の腕でガードし、残り2本の腕でスピアを引き抜くと再度、大ジャンプをし距離を空けた。 「プレイヤースキル『ローカスト』!」 ターバのパートナーがスキルを発動させる。ターバの背後で何かが蠢く。―――バッタだ。数え切れないほど沢山の……。ターバの合図でバッタの集団が飛翔した。 「プレイヤースキル『風花』!」 風に舞う雪がバッタを迎撃していく。プレイヤースキルでターバの技を相殺しようとした陽一だったが、バッタに比べたら密度が足りない。雪を抜けたバッタがマシロに群がりダメージを与えていく。 「ぐっ……!」 バッタの群衆の中を剣で引っ掻き回した。ボタボタと落ちてくるバッタの死骸。スキルの効果時間が切れる頃には数百を越えるおびただしい数の死骸が地面を埋め尽くしていた。 カッターナイフで切ったような細い傷を全身に負ったマシロ。だが、意外にも1番悔しそうな顔をしていたのはターバのプレイヤーだった。スキルでの相殺、剣での抵抗で見積もっていたよりもHPを削れなかったのだ。 「マシロいけるよね?」 「とーーぜんです!マスター『氷刃』を!」 陽一が発動させたスキルにより生成された氷の剣。木漏れ日を受け透き通る刀身に大樹を屈折し映り込んでいる。マシロの剣とターバのスピアがぶつかる。幾度となくぶつかっても壊れない剣がスピアを圧倒し始めた。 「せりゃあああ!」 ついにスピアを弾き飛ばした。宙で回転したスピアは樹に衝突し力なく地面を転がった。 「畳み掛けんだ!」 陽一の声を聞き、更に強く剣を握った。マシロの猛攻がターバのHPをどんどん削っていく。 「これでおしまいっ!」 ターバの腹部を剣が貫いた。HPが0になりったターバはデータ化しフィールドの外にいるプレイヤーの元へ強制送還された。
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