ブリキング大会

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痛み止を飲んだ陽一の手の痛みはあっという間に消え直ぐに調子を取り戻せた。チーム『渦巻く怨嗟の覇者』は続く2回戦3回戦も順調に突破し、準決勝に望もうとしている。 相手チームは『カーズ』。40代位の男と20代の男2人で構成されたチーム。顔立ちがそっくりなので親子なのかもしれない。彼らのパートナーはいずれも戦隊ヒーローに出てきそうなロボット。角刈りで無精髭を生やした中年男性のパートナーは右手がクレーンの『カクレイザー』。若い男の茶髪の方のパートナーは、下半身がキャタピラーになっている『ザードブル』。もう1人のパートナーは1番人の形に近いが、両肩にタイヤをつけ頭部の形状がフルフェイスのヘルメットのようになっている『ビケ』。戦闘スタイルは今までの戦いを見ていたので知っている。動きが速いビケが撹乱しカクレイザーとザードブルが1体ずつ確実に仕留めていくという戦法をとっていた。今回も同じ戦法で来るだろうと踏 み対策も立ててある。 「よろしくお願いします!」 「こちらこそよろしく!」 挨拶を終えると店員によりランダムで選ばれた『廃墟フィールド』が展開された。屋根が崩落し土壁が剥がれた日本家屋。壁に穴が空き変色した畳がまる見えの家や柱が折れ完全に倒壊した建物もある。半壊した家を右手に色褪せた地面に苔むした井戸。マシロは其処で対戦が始まるのを静かに待った。
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