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酔っていたとはいえ、あんな恥ずかしい事を。
そう考えて、レンヤは頬を両手で覆った。
ガイとキスした。
そこまではいいとして。
いや、いつものキスとはちょっと違っていたので、その時点ですでに恥ずかしい。
しかも、体中撫でまわされてキスを落とされて、その上で。
「あんな声が出ちゃうなんて」
自分でも、信じられないくらい甘い声が出た。もっとずっとそうされていたいと願って身悶えた。あまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうだ。
でも、とも思う。
初めてガイにソファに押し倒された時とは違う。
あの時はただ、怖くて悲しいだけだった。
今回は、恥ずかしい、と、とても恥ずかしい、と、すごく恥ずかしい、と、それとちょっぴり……。
(気持ち、よかった)
あぁ、と大げさに首を振る。僕は一体どうしちゃったんだろう。
ほら、今夜もガイがやって来た。
ソファに座り、寄り添い、本をめくりながら体を撫でてくる。
時々、耳や首筋に顔を埋めてキスをくれる。甘い息が漏れる。
くたんと横になると、上衣の裾から手を忍び込ませ、ガイの手がお腹を撫でる。胸まで伸びて、撫でてくる。
「んっ、あ。ふぅ、あっ」
はぁはぁと息が上がる。
もうダメ。苦しい。
そこで、やめてくれる。
罪のない、軽いキスをおしまいの合図にして、床に落ちた本を拾う。
おやすみのキスは、あの日から少し長くなった。舌を絡ませあい、濡れた音を立てて求め合うようになった。
でも、もう怖くはない。
また明日、会える。そう思うと胸が温かくなる。そして、ドキドキと鼓動が速くなる。明日もまた、ガイが僕の体をいじりに来る。そう思うと、全身が熱くなる。
僕は一体どうしちゃったんだろう。
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