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「許せない、っての。せっかく楽しいことしてたのに邪魔されて、俺はかんかんに怒ってます、ってこと」
「そんな」
だから、と腕をレンヤの肩に回し、その細い顎をくいっとつかんだ。
「だから、お前が責任取れ」
肩に回した腕に軽く力を込めて動けなくしてから、ガイはレンヤの唇を奪った。
「ん、んんッ!」
レンヤはもがいた。もがいて暴れて、逃れようと身をよじった。それでも、ガイは腕にこめた力を緩めない。重ねた唇を、離さない。
酔ってるんだ。酔ってるから、ふざけてるんだと、レンヤは固く眼を瞑った。そのうち飽きて、帰るはず。
しかしガイは飽きるどころかじっくり唇を味わってくる。舌が、咥内に差し込まれてきた。
「んんぅ!」
喉奥に逃げるレンヤの舌を探り、舐めてくる。繰り返し繰り返し、優しく撫でてくる。静かに去っていった舌は、甘い響きで囁いた。
「力、抜け」
そして、再び唇が重ねられた。ガイの舌。ゆったりと口の中で動いている。恐る恐る、レンヤは舌を伸ばして触れてみた。待っていたかのように応じてくるガイの舌は軽く踊り、絡ませてきた。
柔らかなガイの舌はひどく心地いい。絡めあっていると、ただ気持ちいい。
人の舌とはこんなに柔らかいものなのかと、レンヤは口づけに夢中になった。
長い、長いキス。
唇を離すと、甘い息をついた。瞳は潤み、ガイの姿をうっとりと映し出していた。
「酔って……」
「ん?」
「酔って、いるんだろ? だから、こんなことを」
自分はからかわれているのだ、という気持ちはレンヤの中にしっかりとあった。そんな彼に、酔ってます、俺は酔ってますよ、と歌うように答えた後、ガイはもう一度軽くキスをした。
「酔ってるから、こんなこともしちゃう」
そして、レンヤをソファに押し倒した。
「や……」
ガイの唇が首筋を吸ったとき、レンヤはただそれだけしか言えなかった。腕を縮め、硬く身をすくませ、まるで動けなくなってしまった。
「イヤじゃねえだろ。俺のこと、嫌いじゃねえな? ん?」
そのとおりだ。嫌いじゃない。だから僕は、きっとキスされたときもおとなしく許したんだ。本気でイヤなら、拳をぶつける勢いで拒めたはずだ。
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