第一章 予兆

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 懐かしい夢を見た。  昨夜、珍しく部屋の掃除なんかしたからだ。  懐かしいピアスを見つけたから、懐かしい夢を見たんだ。  夢の中、別れたあの時と変わらない笑顔でレンヤは俺の前に立っていた。淡い色の長い巻き毛。澄んだ青い瞳に、抜けるように白い肌。  握られた小さな手を開くと、そこには赤い石のついたピアスがあった。片方だけ。 「これは、僕の青い石のピアスと同じものなんだ」  赤いピアスは、俺の手にそっと渡された。 「僕は遠くへ行くけれど、この青いピアスをずっと付けているよ。だからガイ、君は赤いピアスを付けていて」  いつか大きくなってから、どこで出会っても、きっとお互いが解かるように。    そしてレンヤは、傭兵の親父と共に国外へ出て行った。  柄にもなく、俺は泣いた。  しばらくは、赤いピアスを肌身離さず付けていた。  月日は流れ、俺ももう17歳だ。ピアスもいつか、どこかへ失くした。だが、レンヤの事を忘れることはなかった。  可愛くて、泣き虫で、優しかった俺の友達。 「嫁さんにしたい、なンて思ってたよなぁ」  懐かしい、赤いピアスを手慰みながら、俺はレンヤの事を久々に深く思い返した。  そして、久々に赤いピアスを耳に付けて登校した。
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