第二章 再会

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「喧嘩だ!」  ガイの周囲のクラスメイトが、どっと窓際へ駆け寄った。  喧嘩くらいで大騒ぎしやがって。  さらさら興味なし、といった風を気取ったガイだったが、今日の喧嘩は勝手が違う。 「おぉ、すげぇフック!」 「見た? 今の!」 「うゎッ、水面蹴りした!」 「誰? あいつ」 「知らん。知らんヤツ!」  2階の上から見ているので、実況も俯瞰的で解かりやすい。それでも、『すごいフック』と『水面蹴り』をただの喧嘩で盛大にかます『知らんヤツ』とは謎めいた男だ。 「どれどれ~?」  ようやく重い腰を上げたガイが窓際に行った時には、もう決着が付いていた。  知らんヤツが、何か叫んでいる。 「見た目で人を判断するな。解かったか!」  なるほど、男と思って見てみたが、実は女だった、と見せかけて、やはり男なのか。  くどい話だが、この知らんヤツは、女と見間違えるほど綺麗な容姿をしているのだ。    淡い色の長い巻き毛。澄んだ青い瞳に、抜けるように白い肌……。  そして、掻き揚げた髪の下からのぞいたのは、青い石のピアス。 「まさか」  ガイは、無意識のうちに耳に手をやった。触れたのは、赤い石のピアス。  レンヤ……?  唇は懐かしい名をなぞり、ガイはそれきり何も話せなくなった。
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