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「転入生の、シマ=レンヤくんだ」
担任が事務的な口調に、少しだけ色を付けている。生徒たちの反応が楽しくてたまらないのだ。
クラス中の人間が息をのみ、教室の酸素がわずかに薄くなった心地がした。
なんて綺麗な男だ!
女子はその見た目に重きを置いたが、男子はその強さに重きを置いた。
朝一番の喧嘩騒動はあっという間に学園中に広まっていたのだ。怒らせると怖い男、そして途方もなく強い、という事実はプラスイメージのレッテルとして、レンヤの名札に貼られていた。
ガイは試しに例の赤いピアスを付けたまま、自分の席に座っていた。
解かるかな、俺が。
そんな風に、レンヤを試すような心地でどきどきと座っていた。
レンヤに作られた席は、ガイの席から遠い。それでも彼は、一人ひとりを確かめるかのようにしながら、ゆっくりゆっくり歩いてくる。
「……ガイ?」
周囲が、ざわめいた。
どうしてレンヤは転入したばかりなのに、この問題児・ガイを知っているのか。
「ガイ、だろう。赤いピアス、持っててくれたんだね」
あまりにも見事な再会シーンとなってしまった。ガイは、ピアスの石のように耳たぶを真っ赤にして、一言だけ言った。
「……当たり」
そう言った途端に、俺は強烈な力で締め上げられた。レンヤが、突然抱きついてきやがったんだ。
「嬉しい! 久しぶりだね、ガイ!」
柔らかい髪が、首筋に当たる。やけにいい香りが、鼻をくすぐってくる。
(この怪力さえなければ、マジ女なんだけど!)
大人になったら、俺のおよめさんになってくれよな!
あぁ、遠のく意識の中で、忘れたかった恥ずかしい告白まで蘇ってくる~。
「レンヤ。レンヤ?」
「く、苦しい……」
懐かしい夢を見た。
昨夜、珍しく部屋の掃除なんかしたからだ。
懐かしいピアスを見つけたから、懐かしい夢を見たんだ。
懐かしいピアスを見つけたから、懐かしい親友と再会する日になったんだ。
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