第三章 最悪の初めて

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 模擬戦とはいえ、S級同士ともなると命を削るような攻防になる。そのぎりぎりの緊張感で興奮した精神に、あの美しさは、色香はまさしく毒だ。  馬鹿、相手は男だぞ、と首を振る。両手で頬を軽く叩いて、眼を覚まそうと努力する。  だが、レンヤの姿は、なかなか頭から離れてくれない。自分の下に組み敷かれたあの体。どうにかしてしまいたいという欲望が突き上げてくる。  こんな時は、さっさと抜いてスッキリしてしまうのがベストなのだが、一人でとなると危うい。きっとあの美しい少年の姿を思い浮かべながら、果ててしまうことになるだろうから。  男をオカズにひとりエッチなんか御免だ。  ガイは、修練場の人ごみの中にいた少女に声をかけた。手近なガールフレンドで発散させてしまおう、という腹だった。  自分と同い年のこの少女は、ありがたいことにしばしばお相手をしてくれる。初めての時はすでに処女ではなかったし、気軽にセックスができる格好の『お友達』だった。  人気のない建物の陰に身を潜め、ガイは少女の体をむさぼった。特に、胸。丸い乳房に手を這わせ、たっぷりとも揉みしだき舐めまわす。レンヤにはまず見られるはずのないこの体の一部に執着することで、彼の姿を頭から追い出そうと必死になった。 「あぁん。あッ、あぁあ!」  いつもより激しいガイの愛撫に、すっかり夢中なのは少女も同じだった。悶え、声を上げて、両手両足で絡み付いてくる。挿入して腰をやるとその喘ぎはさらに激しくなり、悲鳴を上げて悦んだ。 「あぁ! あぁあ、ガイ! ガイぃい!」  少女を組み敷いても、頭から離れない。レンヤの姿が離れない。こうやって、地に押さえ込んでいた先ほどの、あの肢体の感触が消えない。 「えぇい、くそッ!」  ふ、と人の影が自分にかかる気配を感じて、ガイは動きを止めた。はっとして顔を向けると、そこには丸い眼をしたレンヤが呆然と立っていた。 「え? あ、いや、ごめん。女の子の悲鳴が聞こえたから……」  少女も気づき、慌てて腕を縮めて肌を隠す。  派手な声を上げやがって、こいつ。まるで俺が強姦でもしてるみてえじゃねえか! 「合意の上だ。文句あっか」 「いや、その、ごゆっくり」  ぱたぱたと走り去ってゆく足音がしだいに小さくなる。すっかり興が冷めてしまった。それは少女も同じようで、もそもそと脱いだ服をいじっている。ち、と舌打ちし、ガイはボトムを上げた。
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