虹の雪

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 二人で空を見上げながら、ゆっくりと歩いて、おしゃべりをする。 「わっ」  穏やかな夜が、急に反転した。  涼太(リョウタ)が転んで、手をつないでいた私も涼太の上に倒れこむ様に転ぶ。  降ったばかりの粉雪が、転んだ衝撃でぶわっと舞い上がって空に散った。  きらきら、きらきらと、雪のひとつひとつが月に光る。  雪に寝転んだままの涼太が、すごい、と感嘆の声を漏らした。きらきらとした瞳が、空を舞う粉雪を見つめている。 「雪も、虹色に光ってる」  冷たいけどきれいだねぇ、と嬉しそうに笑っていた。  その顔を眺めて、「涼太が好きで良かった」と呟くと、さっと立ち上がって彼の手を引く。  コートの雪を払ってやると、その雪もまた風に乗って、きらきらと舞っていた。  きらきらとした雪が、二人を包む様に踊る。 「きれい」  涼太の手が離れて、私のコートの雪を払う。  解かれた手に冷えた空気が触れて、ぬくもりが名残惜しくて、きゅっと手を握りしめた。 「帰ろうか」と、歩き出した涼太が二歩先で手を差し伸べる。  雪に残る足跡に、いつまでもこうして一緒に居られたらいいなと願う。  二人の足跡が、ずっと並んで続けばいいなと願う。  差し出された手を取ると、またぬくもりが手に戻ってきた。 「すっかり冷えちゃったね」  そう言った涼太が盛大にくしゃみをした。 「雪遊びなんてするからよ」 「転んだだけだよ」  帰ったらこたつでゆっくりしよう、と二人、身を寄せて歩いた。  白く吐く息の向こうで、まっさらな雪がきらきらと光る。  真っ白な世界も、真っ暗な夜も。  涼太の心を通してみる景色は、どれも驚くほどに美しく、私にも鮮やかに輝く。 「好きよ、涼太」
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