虹の雪

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 少し前までは、その瞳は同じくらいの高さにあったのに。  見えるものも同じだと思えていたのに。 「涼太、おっきくなったよね」 「え、なに、突然」  なんだか子ども扱いされたみたいだ、と眉を下げて苦笑した。笑うと、癖のある髪がふわりふわりと愉し気に揺れる。 「彩夜ちゃんが―――・・・」 「私が縮んだんじゃないからね」  空いた方の手でくしゃりと柔らかな髪を撫でると、涼太が軽くキスをした。 「・・・・・涼太、猫みたい」  頬が熱い。  照れくさくなって、ふいと目を逸らして歩き出すと、同じように涼太も歩き出してくすくすと笑う。歩幅の違う足音が、静かな夜にゆっくりと響いていた。 「彩夜ちゃん、冬の散歩は嫌だった? 寒いの得意じゃないもんね」 「そんなことない」と、慌てて否定する。  あまり好んで外出しない、出不精な私だけれど、恋人との散歩を思いのほか楽しんでいることに、自分でもびっくりするくらいなのだから。  いつも忙しそうなのに、何かにつけて、こうして二人で過ごす時間を作ってくれる。  昔から涼太は、私に優しい。 「こうして涼太(リョウタ)とおしゃべりしながら歩くの、楽しくて好きよ」  よかった、と涼太が相好を崩した。     
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