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「僕も冬の散歩好きだなー。照れ屋の彩夜ちゃんが寒さでくっついてくるから」
揶揄うように笑う涼太の左足をぎゅっと踏みつけた。
「いてて、ごめんごめん。でも、冬の散歩が好きなのはうそじゃないよ。冬の夜の虹は、とりわけ綺麗だから」
顔を覗き込む、涼太の瞳と視線が絡んだ。
「・・・・・さあ、わかんない」
そう言いながら空を見上げて、ああやっぱり、と冷めた気持ちで口の端を上げる。
「でも」
「でも?」
「・・・ありがとう」
涼太が素敵だと感じたものを、私にも伝えてくれるその気持ちが、とても嬉しい。
つないだ手のぬくもりが嬉しい。
彼の気持ちが何よりも素敵で、大切で、愛おしい。
それが、伝わったのか伝わっていないのか。分からないけれど、屈託なく浮かべるその満面の笑顔に、通じ合えた気がした。
涼太が笑っていれば、私もいつでも、笑顔でいられる。
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