虹の雪

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 あの緑色よりは、ちょっと・・・だいぶ、くすんでるけどね、と月の虹を指さした。 「あ、彩夜ちゃんがオススメしてくれたリップクリーム」 「うん、あれいいでしょ」 「冬になるとカサカサで痛かったけど、今年は平気。ほら、つやつや」 「女子・・・」 「リップは男女関係なく使うでしょ!」  そうだね、と肩を震わせながら答えると、軽く小突かれた。 「笑いすぎ。そのリップのキャップ」  もしかして。 「・・・青?」 「青」  そんなささやかな日常の一コマも、一緒に思い出して笑うと、きらりきらりと輝きだす。 「今年は気合入れて、部屋の模様替えしたよね」 「したね。残暑厳しくて・・・もう少し涼しくなってからにすればよかったよね」  汗だくになったもんね、とその時のことを思い出して苦笑する。 「ベッドも移動してさ、本棚も増やして・・・寝室のカーテンも新調したよね」 「遮光カーテン」 「藍色」  家の物は二人で相談して買うけれど、色に関しては全部、涼太に任せている。 「眩しくて起きることが無くなって良かったけど、おかげで涼太は何度か寝坊してたね」 「・・・ほんとね、あの、時計見た瞬間・・・心臓に悪いったらないよ」 「ちゃんと起こしたよ」と、その時の慌てた涼太の姿を思い出して笑ってしまう。     
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