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俺はできるだけ窓に近づいて、庭の様子を探ろうとする。
夜の黒さと、雪が視界を遮るようで俺は目を凝らす。
部屋から漏れた明かりがうっすら積もり出した雪を照らしていつもの庭が幻想的に見えた。
先程まで物音がしていたはずなのに、それすら聞こえなくなるぐらいの澄みきった空気がそこにあるような気がした。
寒さを想像して躊躇したものの、ガラスを通してではダメなのかもしれないと、窓を開けた。
冷たい風とともに自分の体にあたる雪に感覚を呼び覚まされたような気がした。
それは思い違いなんかではなくて、導かれるように『聖』という声に空を見上げた。
光る星が舞い降りているような錯覚を覚える雪の中、雪より大きなそれは光っていた。
いや、ただ光っていただけではなかった。
落ちてきていた――――
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