姉の部屋

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僕には姉がいる。 僕は、朝から家を留守にしている姉の部屋に参上し、室内を物色している。 姉という存在は鬱陶しくもあるが、身近な女性であるため役に立つこともある。例えば、趣向が女性に近くなるという点は、姉が居てこそ得られたものだ。女性との会話がすこぶる捗ることは姉の存在無くしては考えられない。そのおかげで、彼女が出来た。また、僕の彼女と些細なことで喧嘩をしても、姉の我儘を考えれば、可愛いものだ。彼女が悪かろうが関係ない。誠意を込めて謝れる。  姉には感謝の念に堪えない。しかしながら、今回僕は姉の部屋に参上させていただいていることには理由がある。簡潔に言えば暇なのだ。だがこの暇というものは侮れない。例え朝早くに大変気持ちよく起きたとしても、気が付くと僕の傍へ這い寄り、 「おいおい、暇をしているのかい?」 と囁(ささや)き、夜になる。暇と言うやつは、大変に恐ろしいものなのだ。 暇を持て余してしまう僕は、とあるクラブに所属しているのだが、今日は活動がなく、また彼女も予定があるとのことで会えなかった。今回は暇を有効に使うため、姉の部屋へ参った次第なのだ。  
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