姉の部屋

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 なぜ、暇を有効に使うために姉の部屋なのか。僕には妹もいるし、本来なら自分の部屋で暇を活用するのが一般的だろう。だが、姉の部屋に参上したのには、姉の部屋は、姉の部屋としての役割と物置としての役割があるということと僕の部屋は寝ることと勉強することぐらいにしか利用方法がないためだ。 姉の部屋もとい物置になら、漫画やゲーム、思い出の品々があると考えた。  そうして物色し始めた姉の部屋は、綺麗とは言い難い(がたい)と僕は思うが、姉とは意見が食い違っている。 僕が初めて彼女の家にお邪魔する際に、姉は前こんなことを言っていた、 「あんたねー、嬉しそうにしているけど、希望は無いわよ」 「一体何の話?」 「あんた私の部屋をどう思う?」 「物置」  口をだらしなく開け目を半開きにし、精一杯興味ない仕草で受け答えをする僕に対し、然(さ)もありなんと腕を組み、自信ありげな顔で姉は語った。 「全然ダメだ、こりゃ。その感性で彼女の部屋に行くと後悔するわよ。言っておくと、私の部屋はね綺麗なのよ。服や物が少し散乱していて、たまにしか掃除をしない部屋はまともなの。本当に汚い部屋っていうのは食べかけのお菓子や飲み物が当たり前のようにある部屋のことよ。その辺意識して彼女の部屋に入ることね」
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