姉の部屋

5/6
前へ
/6ページ
次へ
僕は漫画を読むことにした。ここで修正しなければならない姉の整理整頓は何もできていないように表現したが間違っていた漫画だけはちゃんとされている。正確には、本棚の上部の方はかなり整頓されている。何か違和感がある。ここだけ整理するとは考えづらい、何かあるのだろうか。 僕は本棚を観察した。そして、その本棚の最上段の漫画は他の段に比べ漫画が前に出ていることに気が付いた。漫画が前に出ているということは、後ろに空間が生まれている。 一体なぜなのか。取りやすさを重視し前に出しているのだろうか。そのような気の利いたことをする姉ではない。そうなるとその空間に何かを隠しているのではないだろうか。 もしかしたら、姉の隠し財産のようなものが出てくるのではないだろうか。いや、それはない。姉は給料日前には資金難に陥るタイプの人間で、隠し財産をするほどの余裕はないはずだ。 僕は姉の隠している物を見つけるべきか躊躇した。大学生にもなって毎日大学での楽しかった出来事や悲しかったことを聞いてもないのに報告してくる姉は、基本的に家族に対して情報はオープンだ。そのため、無断で部屋に参上しても怒らないでむしろ喜ぶ。そんな姉が隠し事をしている。一体、何を隠しているのだろうか。 現在、興味の方が勝っているのは言うまでもない。そのため、秘密を暴くため椅子に足を掛け本棚を漁った。 本棚の漫画は整理されているため、奥の空間まで簡単に手が届いた。そして、少し漁ると何かが手に当たる。それがある部分の漫画を取り出し、中を覗いた。奥にあるものはどうやらDVDのケースのようだ。 まさか姉が隠している物がDVDとは思わなかった。しかし、パッケージを見てとてつもない衝撃を受けた。恐らく僕は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたに違いない。 DVDを持つ僕の手は震えだし、床に落としてしまう。何かの見間違えだったのかもしれない。 「嘘だろ・・・」 DVDを拾い上げもう一度見る。しかし、DVDはどう見てもアダルトビデオ。それも姉が水着のような姿でパッケージを飾っているものだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加