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数日後、
慶二の体調はかなり良くなったが、
記憶は戻らなかった。
寡黙になって鬱状態の慶二を
ゲンは頻繁に訪ねた。
慶二はゲンの頭を撫で少しだけ笑顔になった。
「そういえば・・・健二さんを見付けた最初の日、
ゲンが近付いてさかんに服の臭いを嗅いでました、
ズボンなんか濡れてたけど・・・」
忍が思い出して言った。
「たぶん、慶二さんの何か手掛かりを掴んだんだわゲン、
ゲンが話せないからもどかしいわね」
ため息を吐くみつば。
慶二の体調は良くなったが、
他の人とは話をしない、そういう性格なのだろう、
一人で仕事をしていたのか?
慶二の手は細身の体に合わず分厚く骨太の指だった。
「肉体労働か、農林業関係の人だったのかな」
思いを巡らす健太だった。
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