捨てられた人

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 昼食時、 食堂に入って来たゲンに一人の老人が 焼き魚を与えた。  ゲンは尻尾を振って小屋に持ち帰った。  その姿を慶二はボヤッと見ていた。  ゲンが慶二の側にやって来た。 慶二は魚をきれいに食べていたので 残った骨をゲンに与えた。 「慶二さんは肉や野菜よりも魚が好きなんですね」  忍が言った。  利用者の好き嫌いを把握するのも重要な仕事だ。 「あんたと一緒に外出したい」  慶二が欽二にこう頼んだのは数日後だった。
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