捨てられた人

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 欽二は慶二が海を見詰めている間に 何か思い出したんだと感じた。 「自分の事を思い出したんだ、 俺は漁師だった・・・」  慶二がポツリポツリ話し出した。  慶二は漁師だった。  家族は妻と長男、長女の4人暮らし、 小さな自分の船を持ち、 一人で漁をしていた。  決して裕福ではないが それなりに幸せだった。  その日も慶二は一人で漁をしていた。 魚が全く捕れない、嫌な予感を感じたその時、 大地震が起こった。  海の上ではそう感じなかったが、 岸の方を見ると建物が崩れ火の手が上がっていた。
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