捨てられた人

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 「お、おれの街・・・ 俺の家が・・・」  呆然と炎に包まれた陸地を眺めていた。  慌てて岸に戻ろうとしたが危険が多過ぎた。 船に乗って海にいたからこそ 慶二は死をまぬがれたのだ。  しかし、 家が、妻と子供達は・・・ 怒りと悲しみの唸り声を上げたその時、 慶二の背後から大津波が襲った。  船は波に巻き込まれ慶二は海に沈んだ。 「なんの装備も無かったけど、救命胴衣だけは身に付けていたんだ」  懸命に泳ぎ、赤い炎の見える岸に泳ぎ着こうとした。  何か漂流物が手に当たりしがみ付いてよじ登った。  その後力尽きた慶二は 漂流物に乗ったまま気を失った。  
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